映画「セブン/Seven/Se7en」の感想・考察・豆知識を自由に語ります
あらすじ
退職を間近に控えたベテラン刑事サマセットと若手刑事ミルズは猟奇連続殺人事件の捜査にあたる。犯人はキリスト教における7つの大罪に基づいて殺人を繰り返していることが明らかに。やがてサマセットとミルズは容疑者を割り出すが、その人物に逃げられ、さらにミルズの素性が知られていたことも発覚する。そしてさらなる殺人事件が続いた後、驚愕の事態が……。独特のビジュアルセンスとダークな物語が話題を呼んだ戦慄のサスペンス・スリラー。
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視聴媒体
Amazon prime video
デヴィッド・フィンチャー監督
アメリカの映画監督で、色調を抑えた、暗い画づくりが特徴的です。
アニメーターからCM監督を経て、30歳で映画監督デヴューを果たします。
アニメーター時代には、「スター・ウォーズ エピソード6」や「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」の実写映画に合成させる背景画を描く技術を手がけたそうです。
映画監督としては、実は処女作の「エイリアン3」は大失敗しています。(スタジオ側に大きく編集されてしまったため本人は自分の作品と認めていないそうですが…)
しかし、2作目「セブン」と、その後に出した「ファイト・クラブ」で成功をおさめ、一躍ヒットメイカーとして注目されるようになります。
他にも代表作として「ゴーン・ガール」や、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」、「ソーシャル・ネットワーク」が挙げられます。
ちなみに左目が弱く両目の色が違うオッドアイらしいです。
感想・考察
デヴィッドフィンチャーの持ち味とも言える、全体的に陰鬱な雰囲気で統一されている映画ですね。
ノイズの音響とともに降りしきる雨や雑踏、暗くコントラストの強い画から、救いようのないダークな世界観を感じさせます。
モーガンフリーマン演じるサマセットは非常に思慮深く理性的な人間です。
それに対し、ブラットピット演じるミルズは口数が多くせわしないやつという印象で、自らも言うように感情で生きるタイプの人間です。
対照的な2人が相棒となって通りには進んでいくのですが、ラストシーンでは、憤怒の殺人を実行しようとする感情的なミルズに対して、サマセットが理性をもって制しようとします。
しかし、ケビンスペイシー演じるジョンドゥの思惑通り、ミルズは憤怒の殺人を犯してしまうのでした。
この時の、ブラットピットの怒りと悲しみが入り混じる表情や、感情と理性の狭間で葛藤する姿は圧巻でした。
彼の演技の素晴らしさがこれでもかと言うほど遺憾なく発揮されています。
ラストシーンは、憤怒ではなく理性を持って殺したとしてハッピーエンドだという意見も目にしますが、該当シーンを何度見ても全くそのようには思えません。
理性を持って殺したとすれば、何発も撃ち続ける説明がつきません。
弾を撃ち続けるシーンではひきのアングルになっていて少し顔が見えづらいですが、ブラットピットは憤怒を抑えられず殺してしまった悲壮漂う表情をしています。
その後、放心状態の面持ちで歩き出しています。
やはり、ラストのシーンはジョンドゥの勝利だと結論づけるのが妥当でしょう。
最後にサムセットがヘミングウェイを引用し、「ヘミングウェイはこう書いている。”世の中は美しい。戦う価値がある。” 後半部分には賛成だ。」と語ったことも、ミルズは負け戦だと分かっていながらも、それでも撃つしかなかったということを示唆していると思います。
印象に残ったシーン
サムセットが刑事をやめる理由について「無関心が美徳であるような世の中にはうんざり」と言うサムセットに対し、「問題は人々の無関心だと言うが俺は人など知ったことか。(関心が)自分にあればいい。」「世の中をそう思うからやめるわけじゃない。辞めるからそう思いたいんだ。俺はそうは思わない。あんたに同意はしない。」と力強く言い放つシーン。
無情な世の中に対して環境のせいにするのではなく、あくまでも自分の意思を大切にするという、彼らしい哲学を感じました。
豆知識
緑のランプ
本作では図書館のシーンで登場していましたが、アメリカの映画やドラマでたびたび登場します。
この緑のランプは、「バンガーズランプ」と呼ばれ、欧米では非常に定番のランプです。
一般に、グリーンのシェード、真鍮のスタンドにプルチェーンのスイッチという構成でできています。
バンガーズランプという名前の通り、もともとは銀行員(バンカー)が卓上で作業をする際に使われていたそうです。
そのため、目に優しい緑のシェードで強い光から目を守るように作られています。
七つの大罪
キリスト教の、主にカトリックで使われる言葉だそうです。
人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情のことで、映画にもあったように、「暴食」「色欲」「強欲」「憤怒」「怠惰」「傲慢」「嫉妬」を指します。
映画やアニメなどさまざまな作品でモチーフとして使われています。
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